夕日の帰る場所へ

私は今日も生きる

2月16日の手紙 営業妨害

カホちゃん

元気にしていますか



昔お母さんが中学生のカホちゃんと

高校生のお姉ちゃんを連れて

いつもの駄菓子屋に行った時


知らない小さな女の子とそのお母さんが買い物中だった事があったね。


カホちゃんとお姉ちゃんは気にせずお店の中で大声で話しながら買い物をしていたね。


「お姉ちゃん、何買う?」

「あ、えっとね、毒入りジュースとクッピーラムネとハイチュウと……」

「私も毒入りジュース買おう。あとチロルチョコ。」


レジに立つ駄菓子屋のおばさんが

「あのー、ジュースに毒なんか入ってないよ。」




女の子が二人の会話を聞いて

「お母さん、私も毒入りジュース欲しい」



と、カホちゃんとお姉ちゃんが選んでいる、赤、青、黄色、緑、紫などの毒々しい色のついている瓢箪型の棒ジュースを指差すと



      (画像はお借りしました)



女の子のお母さんは

「やめときなさい!」



そこでまた駄菓子屋のおばさんが

「ねえねえ、別にこれは毒は入ってないよ。」



カホちゃんが

「うちのおばあちゃんが、色粉が入りすぎだから体に毒やで、こんなもん毒入りジュースだわって言うから、うちで毒入りジュースって呼んでるだけだよ。」



おばさんがひきつった顔で固まり



女の子がジュースの箱に近づいて

「毒、毒、毒入りジュースがぁ……」


そのお母さんが

「ダメ、それはやめといて」


と、手を引っ張って


女の子がまた

「毒入りジュースゥー!!!」


おばさんが

「あの、毒は入ってないからね。」


と女の子に笑顔を向けたその時に



カホちゃんがまた

「おばさん、はい。毒入りジュースと……」


とレジに置くと



おばさんが「だからさぁー」










買い物終わって帰る女の子が泣き叫ぶ


「毒ぅ毒ぅ毒入りジュースーーーーーぅ」





お母さんはその子を抱えて店を出て行って。




あまりな大声にしばし皆で見送った後







おばさんが


「何度も言うけど、毒は入ってないからね。」










忘れられません。



美しい思い出です。






ありがとうね。














 (今日の空 ここからが晴れ)











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