夕日の帰る場所へ

私は今日も生きる

4月6日の手紙 恐怖

カホちゃん

元気にしていますか





カホちゃんが小学生の頃

お母さんとお姉ちゃんとカホちゃんで


ディズニーランドに行ったとき

スペースマウンテンに乗ったことがあったよね。



   (画像はお借りしました)


お母さんが何故か椅子に座って

映像を観るだけのアトラクションだと勘違いしていて



乗る時になってジェットコースターだと分かり呆然としました。



   (画像はお借りしました)



ジェットコースターは嫌だと言っていた

カホちゃんだったけど



あんなに並んだからもったいないと

乗ることになってしまいました。





そしてカホちゃんはお母さんのとなりに座って急に

「なんか気持ち悪い。吐きそう」

と言いました。




   (画像はお借りしました)


少し前に船の形のレストランで食べたステーキが、

脂ぽかったのかもしれません。




ライドが動きだし、暗闇を走り出します。



   (画像はお借りしました)


カカカカカカカ、ライドは少し登り

カホちゃんが「お母さん、気持ち悪い」



シューと下降して右に曲がり、

カホちゃんが「気持ち悪い」


左に曲がり

カホちゃんが「おかぁーーさぁ…」



また少し登って下降して


ガガガガー

カホちゃんが「うっ! 」


ゴゴゴゴー

カホちゃんが「おおおっ!」


旋回ドォーーー

カホちゃんが「アアアアーー!」




もしもの時、

暗闇の中で遠心力で飛び散った吐物を

どう片付ければいいんだろうと考えると


全身の血がひいて行く気がしました。




ああ、どうかどうか降りるまで持ちこたえて!


「もう少し我慢して」

と声をかけながら早く終われと願いました。


早く終われ 早く終われ 早く終われ






やがてなんとか持ちこたえ


ライドから口をおさえながら降りたカホちゃんは

すっかり顔色が悪くなっていました。


お母さんは乗車中ずっと

暗闇に飛び散る吐物の掃除と補償金の事を考えて



この世の物とは思えないほどの恐怖を味わいました。


単なるジェットコースターの怖さなんて

なんでもないとすら思えるほどに。



   (画像はお借りしました)



アトラクションから出ると、

ちょうど花火が始まるところでした。



へたりこんだ私達を慰めるように。








忘れられない思い出です。






ありがとうね。








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